オプション取引とは? 目次
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オプション取引とは? 日本一わかりやすい解説 はじめに
その1 オプションって何?
その2 オプションの価格(プレミアム)
その3 損益曲線を描く
その4 損益曲線をデザインする
その5 取引に必要な証拠金
オプション取引とは? 日本一わかりやすい解説 あとがき
オプション取引とは? お役たちリンク集
ここでは、損益曲線を描き方の説明します
損益曲線を描き方として、2種類の方法を使います
・まず満期日の損益曲線を引き、そこから現時点の損益曲線を推測する方法
・リスク指標を使った方法
また、損益曲線を見るときのポイントも説明します
損益曲線を描きましょう
日経平均が動くことによってオプションのプレミアムが変動します。
それに伴い損益も変動します。
損益曲線は、その損益を表したグラフです。
これから、ものすごくアナログな損益曲線の書き方を説明します。
コンピュータが書いてくれる損益曲線は立派だし、リスク指標(後で簡単に説明します)なんて便利なものもあるんだけど、オプショントレーダーはこのアナログ損益曲線を頭に入れておくべきです。
アナログ損益曲線を描くことは、リスク管理にもつながります。
まず、コール1枚を買った時の損益曲線を描きましょう 。
以下を仮定
日経先物 19900円 ←日経平均よりオプションと同限月の先物を使った方が何かと便利です
コールの権利行使価格 20500円 1枚買い
残存日数 20日
オプションプレミアム 200円
リスク指標(デルタ 0.3、ガンマ 0.0004、セータ ー5、ベガ25)←相当いい加減な数字です
1)方眼紙を用意します
2)横の目盛りは日経平均先物です。中心をATMとし、日経平均の上下10%以上の幅をとります(今回でいうと18000~22000より広くとる)
3)縦の目盛りは損益です。中心を損益0円とし、目盛りの幅を日経平均と合わせるといいでしょう
4)縦の目盛りは0円、横の目盛りはオプション取引時の日経先物価格(19900)の地点をプロットします(損益計算のスタート地点です)
5)縦の目盛りはオプションプレミアムの幅だけ下(-200円)、横の目盛りはは左端~権利行使価格まで直線を引きます
6)権利行使価格から右側は、日経平均が1上がるごとに、損益が1増えるように斜線を引きます
はい、満期の損益曲線が出来上がりました(5と6を合体した線です)
満期日の損益分岐点が計算できますね
左側目盛り0のところの水平線が、損益曲線と交わるところの日経平均先物の目盛りを読みましょう
20700円 ですね
7)スタート地点を通り、満期の損益曲線にだんだん近づいていく曲線をかきましょう
はい、売買当日時点の損益曲線ができあがりました
8)スタート地点をセータ分だけ上下に移動します(セータが-5なので、下に5移動します)、その点を通り、満期曲線にだんだん近づいていく曲線をかきましょう
※セータについてはあとで説明します
はい、売買翌日の損益曲線ができあがりました
いいんです、損益曲線はアバウトでいいんです。
満期の損益曲線は、ピッタリとグラフ通りになるのですが、それまでの途中経過は損益曲線通りではなく揺れ動いている感じです。
IVが上昇すれば、当日の損益曲線は情報シフトするし、IVが下がれば下方シフトします。
大暴落などが発生した時には全く違う動きになります。
オプションの難しさでもあり、醍醐味でもあり、儲けを出す戦略のヒントが隠されている部分でもあります。
損益曲線を描くExcelのツールを用意しています
上記に説明したものとほぼ同じ損益曲線を描くことができるEXCELのツールを用意しています。
説明:Excelツール_risk01 リスク指標算出、IV算出、損益曲線
ダウンロード:サイト「ノート」の私のページ ↓
ブラック・ショールズ式をExcelに実装 オプションのリスク指標やIVの算出・ポジション全体の損益曲線の描画
ツールを使えば、簡単に損益曲線を描くことができます。でも、最初は自分の手を動かすことをお勧めします。何回かやれば、単純なものは頭の中で描けるようになります。ツールを使うのは、自分が作った物が正しいかの答え合わせの利用程度でいいと思います。
複数のオプションや先物を組み合わせて、損益曲線が複雑になる場合は、ツールがあると助かります。
リスク指標を用いて損益曲線を描く手法もあります リスク指標とは?
リスク指標は、リスクパラメータ、ギリシャ指標、グリークスなど色々な呼び方があります。
全部同じものを指しています。
リスク指標を使えば、現在のプレミアムがどういう値動きをするかある程度予想ができます。
最初に書いた損益曲線は、満期までの長いスパンを予想する時に便利ですが、複数のオプションを組み合わせた時、その組み合わせが複雑になればなるほど、期中の損益曲線を書くのが難しくなります(満期の損益曲線は簡単です)。
リスク指標は、複数のオプションの組み合わせにも楽に対応できます(それぞれの指標を単純に足し合わせればいいんです)。
では、リスク指標を説明します。
まずは、wikipediaの記述をそのまま引用します。
ギリシャ指標
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AA%E3%83%97%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E5%8F%96%E5%BC%95#%E3%82%AE%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%A3%E6%8C%87%E6%A8%99
Δ(デルタ)
原資産が1上昇するときプレミアムが上昇する割合。コールならば正の、プットならば負の値である。また絶対値は、OTMで権利行使価格から離れるほど低くなり、ATMでほぼ0.5となり、ITMにはいると1に近づくが、1以上になることはない。しかし、たとえばデルタ0.2のコールは原資産が100円上昇すれば100×0.2で20円上昇するはずだが、実際そうはならない。後述のガンマによりデルタ自体が変化するからである。なおデルタは権利行使される確率も表している。
γ(ガンマ)
原資産が1上昇するときデルタが上昇する割合。常に正の値でATMで最大である。
κ(カッパ)もしくはベガ
インプライド・ボラティリティ (IV) が1上昇するときプレミアムが上昇する割合。常に正の値でATM付近で最大になる。またSQ算出日までの日数の長いものほどベガは大きくなる。
Θ(セータ)
1日の時間の経過により失われるオプション・プレミアム。常に負の値。原資産が変わらなければSQ算出日に近づけば近づくほど権利行使できる確率が少なくなるため。このように、オプション・プレミアムが時間の経過と共に小さくなっていくことを「タイム・ディケイ」という。
なお、オプションの買いの時はギリシャ指標の値に枚数を、売りの時は枚数×(-1)をそれぞれかける。
wikipedia を補足します。
説明は、コール買い、プット買いの場合を想定して書いています
デルタは、 コール売り、プット売り の場合の正負が反対になります
ガンマは、コール売り、プット売りどちらの場合もマイナス値をとります
ベガは、 コール売り、プット売りどちらの場合もマイナス値をとります
セータは、 コール売り、プット売りどちらの場合 はプラス値をとります
その他にも、わかりやすそうな記述をネットから拾ったので参考までに
・楽天証券マーケットスピードのオンラインヘルプ (2) リスクパラメータの見方
・オプション道場 15.ギリシャ指標 (The Greeks)
リスク指標を用いて損益図を描きましょう 作図の実践
では、損益曲線の作成にはいっていきます。
最初に書いたものと同じコールを使ってみましょう。
(再掲)
日経先物 19900円 ←日経平均よりオプションと同限月の先物を使った方が何かと便利です
コールの権利行使価格 20500円 1枚買い
残存日数 20日
オプションプレミアム 200円
リスク指標(デルタ 0.3、ガンマ 0.0004、セータ ー5、ベガ25)←相当いい加減な数字です
ちょっと、補足。
上のガンマ0.0004は、日経平均が1動いた時にデルタがどう変化するかを表しています。
つまり、日経先物19901円になれば、デルタは、0.3004 となります。
このガンマの値ですが、あまりにも小さくて使いづらいので、100倍して表示していることがあります。
(注釈はしていない場合が多いです。使う場合は気を付けてください)
100倍の時の見方は、上記例でいうと、日経先物20000円になれば、デルタは、0.34です。
まず、損益曲線を書く前に、コール1枚買いのリスク指標を計算します。
デルタ:0.3 ×(+1枚) = 0.3
セータ:-5 ×(+1枚) = -5
ベガ:25 ×(+1枚) = 25
ガンマは使いません。
※枚数が複数の時は、×(2枚)とか と、単純に掛け算します
オプションを売る時は符号が反対になり ×(-1枚) などと計算をします
先物買いなら、デルタだけが(×枚数分) 売りは符号が逆
同様にミニ先物買いなら、(0.1×枚数分) 売りは符号が逆
複数銘柄がある場合は、それぞれ個別に計算したものを、単純に足し合わせます
さて、作図を始めましょう
1)方眼紙を用意します
2)横の目盛りは日経平均先物です。中心をATMとし、日経平均の100円程度の幅をとります(今回は19800~20009あたりを使いましょう)
3)縦の目盛りは損益です。中心を損益0円とし、目盛りの幅を日経平均と合わせるといいでしょう
4)縦の目盛りは0円、横の目盛りはオプション取引時の日経先物価格(19900)の地点をプロットします(損益計算のスタート地点です)
5)スタート地点を通り、デルタ0.3の直線を引きます
先物100円上昇なら100×0.3=30円上昇の直線)
6)はい、売買当日時点の損益曲線ができあがりました
但し、IVの変化がない場合の損益曲線になります
ガンマがプラスなので、実際の損益曲線は下に凸(上に開いた形)になります
線の両端に、気持ち程度上向きにした点線を加えてみました
7)セータの値が5です。6)で作った当日の損益曲線から、5下げた直線を書きましょう
8) はい、売買翌日の損益曲線ができあがりました
9)ベガの値は25です。6)の直線を25上げた直線を書きましょう
10)はい、IVが1上昇した時の損益曲線ができあがりました
11)ベガの値は25です。IVが1下がると、25×(ー1)=-25 損益が変化します
6)の直線を25上げた直線を書きましょう
12)はい、IVが1下落した時の損益曲線ができあがりました
リスク指標を用いて損益曲線を描きましたが、どういう感想でしょうか?
え、「わざわざ図にするほどのことじゃない」ですって?
はい、その通りです。リスク指標を用いれば、簡単に損益計算ができてしまいます。
多数の銘柄があったり、オプションの売り買いがあったり、先物が混ざったりしているポジションでも、それぞれのリスク指標を足し合わせればいいだけなので、簡単にどういう損益構造のポジションかわかります。
わざわざ、図は必要ないですね。
話が少し横道にそれます。
普段のトレードではこの図は必要ないと思うのですが、是非言っておきたいことがあります。
オプションプレミアムは、日経平均の上下の影響を受けてプレミアムの増減があるけれど、それ以外にもIVの影響を大きく受ける、ということです
タイムディケイの影響はそれほどないです(SQ直前は大いにあります)
話は元にもどります。
このように、特定のタイミングでオプションのリスク計算をした場合、日経平均がその場所から大きく動いていないならば、リスク指標を用いての損益計算ができます。
でも、日経平均が大きく動いたらどうなるか? とか、数日後どのようになるか? という時は最初に書いた方の損益曲線が役にたちます。
オプショントレードをする際は両方の損益曲線を併用して、損益がどうなるかのイメージを事前につかむようにしましょう。
損益曲線を見るポイント
ここまでのまとめの代わりに、せっかく描いた損益曲線のどこに注目すればよいかを列記します。
満期の損益曲線
デイトレードならばあまり関係ないのですが、数日間以上に渡ってポジションを維持するなら必要でしょう
リスク管理や準備しておく証拠金の金額を把握するためにも必要です
(証券会社が提示する証拠金は、いざという時にすぐ上昇します。その時に対応できるだけの資金の裏付けが必要です)
日経平均先物との連動性
損益曲線の直線の傾きをみてもいいし、デルタの値を見てもいいです
IVとの連動性
すなわちベガの値です
短期トレードの場合、デルタの値以上に影響がある場合があります
デルタで勝負したいトレーダーにとっては悩ましい部分でしょうが、これを制するのがオプショントレードの醍醐味でしょう
以下、IV変動の目安です(私の経験値なので、未来にあてはまるかはわかりません)
IVは平凡な相場でも、前日比±1程度の変化をすることがよくあります
相場が荒れると、前日比+5~+10程度になることがあります
(こうなると、ベガの影響が大きいです)
そして、〇○ショックとか名称がつくような大暴落時は、前日比+20とか+50とか、あり得ないような数値になることがあります
(オプションプレミアムはベガの影響が大きくなります。OTMではデルタの影響は無視できるほどです)
日経平均先物とが大きく動くことを歓迎するか、それとも動かないことを歓迎するか
日経平均の範囲を広くとった損益曲線を見ましょう
あるいはリスク指標で、ガンマの値が正なのか負なのか、ガンマと背反関係にあるセータの値が正なのか負なのかを確認しましょう
特にSQの数日前になってくると、ガンマの値もセータの値が大きくなり、損益への影響が大きくなってきます
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その1 オプションって何?
その2 オプションの価格(プレミアム)
その3 損益曲線を描く
その4 損益曲線をデザインする
その5 取引に必要な証拠金
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