オプション取引とは? 目次
全ページの一覧を表示
オプション取引とは? 日本一わかりやすい解説 はじめに
その1 オプションって何?
その2 オプションの価格(プレミアム)
その3 損益曲線を描く
その4 損益曲線をデザインする
その5 取引に必要な証拠金
オプション取引とは? 日本一わかりやすい解説 あとがき
オプション取引とは? お役たちリンク集
オプションの価格表やそれをグラフ化したものをながめてみます
それを見ながら、オプションの銘柄間の関係を確認していきます
また、OTM、ATM、ITM、といった言葉や、プット・コールパリティーの関係について説明します
IVについて説明します
オプションの価格(プレミアム)
ただで入れる保険はありません
同様に、オプションにも価格があります
この価格のことをプレミアムともいいます
ここでも、保険と比較してみてみましょう
1年先まで補償してもらえる自動車車両保険と、3年先まで補償してもらえる自動車車両保険、どっちが高いですか?
もちろん3年先までの方ですよね
オプションのプレミアムも、満期までの期間が長い方が高くなります
では、免責金額10万円の車両保険と、免責金額50万円の車両保険はどっちが高いですか?
もちろん免責金額10万円のほうが高いですよね
免責金額10万円の車両損傷の方が、起こる確率が高いうえ、同じ損傷でも免責10万円の方が高い補償が受けられます
オプションのプレミアムも、原資産の価格と権利行使価格の差が小さい時の方が高くなります
※今までの説明の流れでは、この説明で差し支えないでしょう。後ほど訂正します。
では、実際のオプションの価格表を見てみましょう
これは2019年11月SQの前日の終値を理論価格で置きなおしたものです
SQ前日は、プレミアムが本質的価値(後で説明します)に限りなく近づくので特徴的な日でもあるのでこの日のデータを選んでいます
まず、表の見方
左右の真ん中に「権利行使価格」があります。
そして、その左右に満期が近いものから順に、11月限、12月限、1月限のプレミアムがならんでいます。
オプションの銘柄を表示する時に、このような表示をすることがよくあります。
縦一列にずらっと銘柄を並べるよりは、視認性があがりますね。
右上に日経平均終値を表示しておきました。
その値。日経平均23330.32をはさんでプレミアムに色を付けました。
コールなら権利行使価格が高い方が黄色、低い方が薄い青色。プットは逆です。
表の上部、満期日までの下に残存日数を載せています。
残存日数 = 今日の日付 - SQ日
です。
表の両端に、オプションの「本質的価値」を載せました。
今日のまま、日経平均が全く変動しないままSQ日をむかえ、SQ値が算出されたとした場合の、オプションの価値です。
ことばの整理
「プレミアム」 =オプションの価格
「残存日数」 = 今日の日付※ - SQ日
この今日の日付なんですが、実践場面では、「取引日」がよく使われています。取引所の「日中取引」が終了した時点で、翌営業日に切り替わります。
オプションのプレミアムの規則性
さて、そろそろ保険に例えるのはやめましょう
保険との大きな違いは次のあたりでしょうか。
保険は一般的に「本質的価値」は0です(条件が成立しなければ補償はない)が、オプションには、「本質的価値」が0でない銘柄がある。
オプションには、同じ権利行使価格に対して、「コール」と「プット」がセットで存在する
もう一度、表に戻ってみてみましょう。
日経平均の値を境にして、 コールなら権利行使の高い方、 プットなら権利価格の低い方、(両方とも黄色の部分)を「OTM(アウト・オブ・ザ・マネー)」といいます。
保険の話と似ているのは、このOTMの領域です。
OTMでは、本質的価値は0です。
掛け捨て保険と似ていますね。
OTMと対比してその反対側(薄い青色)を「ITM(イン・ザ・マネー)」と言います。
ITMの領域では今まで話してきた内容が、そのままでは通じません。
前述した、「オプションのプレミアムも、原資産の価格と権利行使価格の差が小さい時の方が高くな る」は、間違いです。
ITMでは成り立ちません。
ITMでもOTMでも、
コールは、「権利行使価格」が高いほど「プレミアム」が低く、
プットは逆に「権利行使価格」が高いほ「プレミアム」が高くなります。
OTMの銘柄は、日経平均が変動せずそのままSQを迎えると、紙屑になります。
本質的価値は0です。
本質的価値は0なのに、プレミアムが0でないというのは、日経平均が上がったり下がったりして、権利行使をできるかもしれないからです。このかもしれないに対してついている価値を「時間的価値」と言います。
時間的価値は、満期までの期間が長ければ長いほど高くなります。
ITMの銘柄は、日経平均が変動せずそのままSQを迎えても、権利行使して権利行使価格と日経平均SQ値との差額を受け取ることができます。
この金額がつまり「本質的価値」です。
ITMのプレミアムは、本質的価値+時間的価値 で計算されます。
ITMやOTMの仲間の言葉で、「ATM(アット・ザ・マネー)」が、あります。
原資産の現在価格がATMです。
ただそれだとあまりにも狭義なので、ATMに一番近い権利行使価格、あるいは、ATMを挟んで両側の権利行使価格もATMと呼びます。
文章での説明が長くなりました。
「日本一わかりやすい」を標榜していますが、このあたりは、すんなりと頭に入ってこないかもしれません。
言葉の整理は後回しにして、コールとプットのオプション価格のグラフを眺めながら、このあたりの内容を再度整理してみます。
<オプションのプレミアムについて整理>
・コールオプションは、権利行使価格が低いほど、プレミアムが大きい
・プットオプションは、権利行使価格た高いほど、プレミアムが大きい
・コール/プット共通して、満期までの期間が長いほど(残存日数が長いほど)、プレミアムが大きい
・コール/プット共通して 、満期までの期間が0日に近づくほど本質的価値に近づく
・コールの本質的価値は、OTMでは0、ITMでは、「日経平均株価」-「権利行使価格」
・プットの本質的価値は、OTMでは0、ITMでは、「権利行使価格」-「日経平均株価」
・コール/プットに共通して、満期日までの期間が長いほど、時間的価値が大きい
・コール/プットに共通して 、時間的価値はATMで最大で、離れていくほど小さくなる
グラフや表から直接読み取るのは難しいのですが、実は次の関係が成り立ちます
「日経平均株価」=「権利行使価格」+「プットのプレミアム」ー「コールのプレミアム」
この関係を「プット・コール・パリティ」 と言います
※厳密には、配当落ちや金利の影響があり、もう少し難しい式になります
表をみて気付いてしまった方への補足(まだ説明されていない言葉が出てきますが悪しからず)
11C24500の異常値
→理論価格の計算の際1円以下のオプションの論理価格は大引けの時に売買が成立したのか、売り気配のまま終了したかで違うのだろうと想像します。1円で大引け迎えれば、理論価格が1円。1円売り気配の場合は、内側の銘柄のうち売買が成立したもののIVをもとに計算されていると思われます。11C24500は、たまたま買い手がいて売買が成立したためにこの値になったのでしょう
11P22000の異常値
→これも11C24500と同様の現象だと思われます
特に202001限のプット・コール・パリティの計算が合わない
→12月決算の配当落ちの影響が大きいです
ことばの整理
「本質的価値」・・・日経平均が現時点と同じ価格で満期をむかえた時に受け取れる金額
「時間的価値」・・・オプションプレミアムー本質的価値
「OTM(アウト・オブ・ザ・マネー)」
・・・原資産の価格を境にして、 コールなら権利行使の高い方、 プットなら権利価格の低い方
「ITM(イン・ザ・マネー)」
・・・原資産の価格を境にして、 コールなら権利行使の低い、 プットなら権利価格の高い方
「ATM(アット・ザ・マネー)」
・・・原資産の価格、 それに一番近い権利行使価格、あるいは、それを挟んで両側の権利行使価格
「プット・コール・パリティ」
・・・ 「原資産の価値」=「権利行使価格」+「プットのプレミアム」ー「コールのプレミアム」 となる関係の事
もう一つの、プレミアムを決定する要素 IV(インプライド・ボラティリティー)
ここまでの説明で、オプションのプレミアムを決定する要素をいくつかあげました。
・原資産価格(配当落ちなども考慮)
・権利行使価格
・限月(満期日までの期間)
そして、もう一つあります。
それは・・・
平凡な答えですみません。
市場参加者の需要と供給の関係で大きく変動します。
原資産の変動が激しいと、保険的な役割を担うオプションプレミアムは高くなるし、原資産が全く変動しないような時は、プレミアムは低くなります。
その需要と供給の関係を数値化したものが、IV(インプライド・ボラティリティー) です。
IV(インプライド・ボラティリティー) って、どんな数値なの?
オプションプレミアムを理論的に求める手法があります。
一般的に使われているのが、 ブラック・ショールズ 式(BS式)です。
ブラック・ショールズ式 のパラメータに値を入れればプレミアムが計算できます。
影響が大きいパラメータは、
・原資産価格
・配当
・権利行使価格
・満期日までの期間
・ボラティリティー
です。
上記のパラメータのうち、ボラティリティー以外はわかっているので、ボラティリティーさえわかればプレミアムの適正価格を算出することができます。
ボラティリテイーとは?
価格の変動の大きさを表す指標です。
通常、年率換算されて%で表示されます。
ボラティリティーは、3種類に区分できるでしょう。
・ヒストリカル・ボラティリティー(HV):原資産の過去の変動の大きさ
・フューチャー・ボラティリティー:原資産の将来の変動の大きさ
・インプライド・ボラティリティー(IV):オプションプレミアムから逆算でだしたもの
オプションの理論価格を求めるためには、 フューチャー・ボラティリティーが必要です。
しかし、未来を正確に予想できる人なんていません。
なので、HVを参考にしつつ今後の価格変動要素を考慮すれば、だいたいこれぐらいの変動がありそうだ、という推測ができます。
この数値を、BS式に代入すれば妥当なプレミアムを算出できます。
実際は、需要と供給の関係で最終的なプレミアムが決まり、取引されます
その最終的なプレミアムから、逆算してフューチャーボラテリティーの予想値が求められます
これが、 インプライド・ボラティリティー(IV)です
IVは、便利な指標です。
権利行使価格が異なるオプションのプレミアムは当然異なるのですが、IVはだいたい同じです。
隣り合う権利行使価格のIVが大きく異なることは普通ありません(裁定取引で解消されます)。
また、限月が異なる銘柄の比較にも使えます。
IVは、時々刻々変化していきます。
日経225の相場変動が大きくなると、IVも上昇することが多い傾向があります。
また、相場が大きく下落したときも、IVが上昇することが多い傾向があります。
逆に相場が落ち着いたり、ゆっくり上昇する時は、IVが低下することが多い傾向があります。
オプション取引とは? 目次
全ページの一覧を表示
オプション取引とは? 日本一わかりやすい解説 はじめに
その1 オプションって何?
その2 オプションの価格(プレミアム)
その3 損益曲線を描く
その4 損益曲線をデザインする
その5 取引に必要な証拠金
オプション取引とは? 日本一わかりやすい解説 あとがき
オプション取引とは? お役たちリンク集